「新型コロナ対策:歴史は繰り返す?」
「緊急事態宣言」が発令されて1週間が経ちました。外出自粛要請が続くなかで、皆さまいかがお過ごしdしょうか? 欧米での「緊急事態宣言」と異なり、日本の場合は立法措置というよりは要請というお願いを政府が行い、国民は自粛で応えるということになるそうです。 もっとも、日本の場合はよその目をかなり気にするので、かなりの強制力が働くというのが実態ではないでしょうか。
「特措法」でも強制力がないということを知って少しホッとしましたが、そんな時とても興味深いテレビ番組(ETV特集)を観ました。パンデミックについていろいろな視点から深く考えさせられる内容でした。
本日はその中から「歴史は繰り返す?」という視点から新型コロナ対策について考えてみたいと思います。
◆まず初めに質問です。次の文章はいつごろ誰が書いたと思いますか?
「盗人を見てから縄をなうというような日本人の便宜主義がこういう場合にも目につきます。政府はなぜいち早くこの危険を防止するために・・・・・。多くの人間の密集する場所の休業を命じなかったのでしょうか」
◆ほとんどの人が現在活躍中の作家が書いたと思ったのではないでしょうか。
実は、この文章はおよそ100年前に与謝野晶子がスペイン風邪(1918~1919)が流行した時に書いた文章だったのです。(『感冒の床から』) びっくりしたのではありませんか?スペイン風邪の時には劇場や大きな催し物を止めることはほとんどなかったので、日本国内で50万人近くが亡くなったと言われています。
それにしても、なぜスペイン風邪の怖ろしさが日本人の記憶に残っていないのでしょうか。 経済学者で「日本を襲ったスペイン・インフルエンザ」という著書のある速水融氏によると、「風景を変えない感染症は忘れられやすいから」だそうです。
「風景が変わらない」とは、戦争や震災は風景が一変するから記憶に残るけれども、感染症は風景が変わらないから忘れられやすいというのです。なるほどと納得できました。
新型コロナウイルスの感染症は、当時のスペイン風邪ととてもよく似ていて世界中で猛威を振るっています。新型コロナ対策で、日本人はスペイン風邪から学ぶことなく感染爆発を起こし、歴史を繰り返すのでしょうか。それとも、これまでの感染症の歴史から学んだことを活かして感染爆発を食い止めることができるのでしょうか。
どちらになるかは、これからの政府と日本人一人一人の危機感と自覚そして行動にかかっているとしか言えません。
ただひたすら、一日も早く感染拡大が終息して、世界中のあちこちの町に平穏な日常生活が戻ることを祈るばかりです。