「新型コロナウイルス:3つの顔」
新型コロナウイルスの感染拡大が止まりません。 今月8日には(金)には首都圏に2回目の緊急事態宣言が発令されました。 医療現場はひっ迫し、毎日のように医療崩壊が差し迫っていると報道されています。 そんな中、医療従事者をはじめとするエッセンシャルワーカーや感染者に対する差別や偏見が深刻な問題になっています。 感染したらお世話になる医療従事者や私たちの生活の基盤を支えてくれているエッセンシャルワーカーに感謝こそすれ、なぜ差別をしたり、偏見を抱いて心ない言葉や行動で傷つける人たちが後を絶たないのか、私には理解できませんでした。
そんな時、エッセイストの岸本葉子さんがラジオで日本赤十字社が出している小冊子を紹介してくれました。その小冊子は「新型コロナウイルスの3つの顔を知ろう!~負のスパイラルを断ち切るために~」と題したガイドです。
差別や偏見という負のスパイラルを断ち切るために、その内容を簡単に皆さんにもご紹介します。
【ウイルスがもたらす3つの顔】
①第1の顔は「病気そのもの」です。
◆このウイルスは、感染者との接触でうつることが分かっています。感染すると、風邪症状や重症化して肺炎を引き起こすことがあります。
②第2の顔は、「不安と恐れ」です。
◆このウイルスは目に見えません。分からないことが多いため、私たちは強い不安や恐れを感じ、振り回されてしまうことがあります。それらは私たちの心の中で膨らみ、気づく力・聴く力・自分を支える力を弱め、瞬く間に人から人へと伝染していきます。
➂第3の顔は、「嫌悪・偏見・差別」です。
◆不安や恐れは人間の生き延びようとする本能を刺激します。そして、ウイルス感染に関わる人や対象を日常生活から遠ざけたり差別をするなど、人と人との信頼関係や社会のつながりが壊されてしまいます。
【3つの顔を防ぎ、振り回されないために】
①第1の顔、「病気そのもの」を防ぐために
◆一人一人が、手洗い・咳エチケットなど衛生行動を徹底しましょう。ウイルスに立ち向かうための行動を、自分のためだけではなく周りの人のためにも行うことが大切です。
②第2の顔、「不安や恐れ」に振り回されないために
◆不安や恐れは、私たちの「気づく力・聴く力・自分を支える力」を弱めます。不安や恐れは身を守るために必要な感情ですが、私たちから力を奪い、冷静な対応ができなくなることもあります。
◆「気づく力」を高めるために、まずは自分を見つめてみましょう。 考え方や気持ち、振るまいなど、自分自身ををいろいろな角度から観察しましょう。いつもの自分と違うところはありませんか? ウイルスに関する悪い情報ばかりに目が向いていませんか? なにかと感染症に結びつけて考えていませんか?
◆「自分を支える力」を高めるために、自分の安全や健康のために必要なことを見極めて、自ら選択してみましょう。ウイルスに関する情報にさらされるのを制限し、距離を置く時間を作りましょう。また、安心できる相手とつながりましょう。
➂第3の顔、「嫌悪・差別・偏見」を防ぐために
◆不安を煽ることは病気に対する偏見や差別を強めます。 そのため、確かな情報を広めましょう。 また、差別的な言動に同調しないようにしましょう。
◆医療従事者をはじめ日常生活を送るために社会生活を支えているエッセンシャルワーカー、自宅待機している人など、皆さんそれぞれの場所で頑張っています。 この事態に対応している全ての方々をねぎらい、感謝の気持ちと敬意を払いましょう。
このように新型コロナウイルスは、3つの顔を持って、私たちの生活に影響を及ぼします。
このウイルスとの闘いは、長期戦になるかもしれません。 それぞれの立場でできることを行い、みんなが一つになって負のスパイラルを断ち切りましょう。