「ジェンダー・ギャップ指数120位の意味」

前々回「男女格差:いびつな国ニッポン」について取り上げましたが、ご感想はいかがでしたでしょうか?
実は先日、NHKラジオで藤沢久美さんが「ジェンダー・ギャップ指数120位の意味」についてインタビューに答えていました。 藤沢久美さんは、実業家・経済評論家・シンクタンク代表として第一線で多彩に活躍している女性です。 そこで今回は、その時のインタビューから藤沢久美さんが「ジェンダー・ギャップ指数120位」をどのように受け止め、どのように分析しているのか、簡単に紹介したいと思います。

【藤沢久美さんの受け止めと分析】
◆毎年発表されるジェンダー・ギャップ指数に注目しているが、年々悪くなる一方である。日本という国は本気で男女格差の問題を解決しようと思っていないことの表れではないか。

《経済139位/156国》
◆日本商工会議所の後押しもあって、日本の企業には社外役員の女性は増えてきているが、社内役員はほとんどいない。 10年位前から女性役員の育成を始めたので、もうしばらく待ってほしいと言われても待っていられない。 世界の改善が速いので、日本もすぐに改善に着手すべき。また、新入社員から育成する他に、世の中には優秀なキャリアを積んだ経験豊かな女性がたくさんいるので、その方たちを登用して育成することも考えるべき。
とにかく、国が旗振りをして、男女の別なく役員を育成することが根本的な解決になる。

《政治147位/156国》
◆昔から男性議員が多い国会や議会では、男性議員を減らして女性議員を増やすことには男性議員の抵抗が大きい。 しかし、国の方針を決める場にここまで女性議員が少ないと、女性を含めた社会をどうつくっていくかという議論ができない。 一時的にクオーター制を取り入れて、世界から取り残されないよう一刻も早く、男女が平等に活躍できる社会に変える仕組みを考える必要がある。

《ジェンダー・ギャップ指数120位の意味》
◆男性・女性に関わりなく人として活躍できる社会をつくろうと変わっていくのが世界の常識。  ますますその常識が加速していく中で、日本が今のまま変わらなければ、「日本の常識はズレているから、日本の意見を聞いても意味がない」と受けてられる。 ジェンダー・ギャップ指数が低いと、日本の意見に耳を傾けてもらえなくなる。
◆日本という国だけのこれからの成長や経済の発展ということを考えた時に、世界の常識からズレているということは、男性だけでものごとを決めることが多いので、新しい変化やチャンスを生み出せないため、経済的にも成長力はどんどん落ちていくと思う。

 

◆世界の中でも男女格差が極めて大きい日本の社会で、第一線で多彩に活躍している藤沢久美さんの受け止め方をどのように感じましたか?
私は改めて、このジェンダー・ギャップ指数120位という実態が、ビジョンをもたず、目先の成果ばかりに注目して基礎研究を大切にしない現在の国の姿勢や若手研究者を育成しようとしてこなかった姿勢と共通していると感じました。
また、このままの日本では、気候変動問題をはじめとするSDGsでも世界から取り残されることは言うまでもありません。