「雑感:自民党総裁選報道」

1か月近くメディア・ジャック状態で続いた自民党総裁選がやっと終わり、新総裁が岸田氏に決まりました。 新しい閣僚も発表され、新内閣の顔ぶれが見えてきました。
また、総裁選中に行われた街頭インタビューで「野党は国会で反対しかしない」とか「野党は何をやっているのか全然分からない」といった市民の声がとても気になりました。
そこで今回は、総裁選報道で感じたことをいくつかご紹介します。

【自民党の本質は変わらない?】
◆「私たちは高市さんを通して、確固たる国家観を示した」総裁選が終わった直後の安倍元首相の言葉です。
では、自民党の国家観とはどのようなものものなのでしょうか。実は、総裁選中に聞いた田中優子さんの次のような言葉が心に残っていました。 少し長くなりますが、引用すると下記のような内容でした。
「自民党はどういう国・社会像を描いているのか~自民党の『憲法改正草案』をじっかり読むと見えてきます。 それは、天皇を元首としていただき、基本は個人でなく家族である。その家族を核にして国土を守り、子孫を残して、国家を子孫に継承する。(つまり戦前の社会に戻そうという社会像です) 誰が自民党の党首になったとしても、これは自民党の党是ですから、そういう社会像を目指すことになる。個人というものは、その中から消えている。個人を核にするのではなく、家族を基礎とする。そういった社会像(国家観)を持った自民党の総裁を選ぶ選挙だということを念頭に置いて見ている。 その上で、次の総選挙のことを考えたい」と。

【平和は壊すより築く方が難しい】
◆高市氏は総裁選の中で「敵基地攻撃」について意欲を見せました。 先日のアメリカ軍のアフガニスタンからの撤退からも分かるように、ミサイルやAI兵器を使って平和を壊すことは簡単です。 一方、ペシャワール会の中村哲医師や前回のブログでご紹介した永井陽右さんのように「相手国を敵として攻撃するのではなく、社会のシステムを根本から見直して社会の問題を解決しようとする姿勢」こそが確実に平和をもたらすのではないでしょうか。

【ジャーナリストの怠慢!?】
◆冒頭に書いたように、「野党は反対ばかりしている」とか「野党は何をやっているのか全然分からない」という市民の声が多いことが気になっています。 「それはあなたの勉強不足でしょ」と言われれば、素直に認めて私も含めて反省せざるを得ません。 しかし同時に、「マスコミがもっと日常的に野党の政治活動や政策について情報を与えてくれればいいのに」とか「もっと政治と日常生活とのつながりを分かるように伝えてくれればいいのに」、さらには「民主主義は与えられるものではなく、自分たちで育まなければものだということを具体例を示しながら伝えてくれればいいのに」などなど、ジャーナリストたちに提案したいことがたくさんあります。 毎日の新聞やテレビでこれらのことが紹介されていれば、「野党は何をやっているのか全然分からない」という声はかなり少なくなるのではないでしょうか。
今回の自民党総裁選報道に関して言えば「総裁選にばかりかまけていないで、もっと他にもやるべきことがあるでしょ。ジャーナリストの怠慢ではありませんか!?」と言いたくなるのは私だけでしょうか?
生意気な言い方をさせていただけるなら、「ジャーナリストは自立した市民を育てる一翼を担っていることを忘れないで!」と言いたい思いを抱いた総裁選報道でした。