「天災・人災・戦災」

先日、前川喜平さんが東京新聞の「本音のコラム」で「天災・人災・戦災」について書いていました。
言うまでもなく。天災は台風や地震など自然界の変動によって受ける災害であり、人災は人間の不注意や無為がもとで起こる災害です。そして、戦災は戦争による災害ですが、その戦争は人間が引き起こすものであり、最悪の人災だといえます。
2024年は元日から能登半島地震、羽田空港での航空機同士の衝突炎上事故と、天災と人災が発生して明けましておめでとうございますといえない年の始まりとなりました。
被災された方々には一日も早く平穏な日常の生活を取り戻せるよう心から祈るばかりです。
しかし、嘆き悲しむだけでなく、天災の中にも人災があるので、冷静さを取り戻して、地震大国日本における国民の安全・安心を高めるための国づくりを本気になって考え、取り組むべきではないでしょうか。
そんなことを考えた年の初めでした。
そこで今回は、地震と原発に関して「樋口理論」をご紹介します。

 

【樋口理論】
◆「樋口理論」とは、一言でいうと「原発は日本で頻発する地震の揺れに脆弱である」ということです。
地震は、「マグニチュード」(地震が発生するエネルギーの大きさ)と「震度」(地震の観測地点がどのくらい揺れたかを表す単位)で表すことは皆さんもよくご存知ですよね。

◆でも「ガル」を知っている人は少ないのではないでしょうか。
「ガル」は、観測地点での振動の激しさ・加速度を表す単位です。
建造物耐震性能を単位としても使われています。

◆2021年3月までに日本原子力規制委員会が認可した原発の耐震性を示す基準値振動は次の通りです。
(玄海原発 1・4号機)620ガル
(川内原発1・2号機)620ガル
(伊方原発 3号機)650ガル
(東海原発)650ガル
(高浜原発3・4号機機)700ガル
(大飯原発3・4号機)856ガル
(福島第一原発)800ガル
◆2000年から約20年間に起きた主な地震のうち700ガルを超える地震は30回以上起きています。
原発の耐震設計基準が頻発する地震よりも低いことが解ります。
ちなみに、住宅メーカーの耐震性能は次の通りです。
(住友林業)3406ガル
(三井ホーム)5115ガル
原発の耐震性能が住宅メーカーの耐震性能よりもずっと低いなんておかしいと思いませんか?

◆この樋口理論はグラフになっていて、地震大国日本の原発の耐震性がいかに脆弱か一目瞭然です。
樋口英明元裁判長はこの「樋口理論」を通して、原発の危険性を広く知ってもらうために講演活動をしているのです。

◆ご感想はいかがでしたか? 私が樋口英明元裁判長を尊敬するのは、何よりも裁判官としての良心と公正に基づいて行動なさっているからです。
あの関西電力と地元ボスとの汚職まみれの中で“掃き溜めのツル”のように毅然としたお姿は素晴らしかったと思いませんか。
映画「原発をとめた裁判長」は現在も全国のミニシアターで上映されていると思いますのでぜひご覧ください。
※「樋口理論」については、2022年9月のブログから引用しました。
【追記】◆今回の能登半島地震では、志賀原発にいろいろトラブルが発生していますが、当局は「異常なし」発表されました。また、当初は「珠洲原発」が計画されていましたが、住民の反対で現在の「志賀原発」になったそうです。そして何よりも新潟県と福井県には原発がたくさんあります。大丈夫といえる状況ではないのに、政府は原発を押し進めようとしています。福島第一原発から何も学ぼうとしない政府は地震よりも怖いと思いませんか。