「教育の脱デジタル化」(2)

ようやくブログを書く時間が取れるようになりました。
前回は「教育の脱デジタル化」というテーマで書きましたが、ほんの入り口という感じが残っていました。
「教育のデジタル化」については、もちろん素晴らしい効果はたくさんありますが、その反面課題も多々あります。
その課題の1つとして、前回は「集中力」について取り上げました。
今回は、「コミュニケーション力」と「思考力・判断力」について取り上げてみたいと思います。

【コミュニケーション力】
今回、「教育の脱デジタル化」の2つ目の課題として「コミュニケーション力」を取り上げたいと思います。
今の若い人たちは、LINEメールやSNSの操作は得意ですが、話し下手な人が多いと思います。電話で話すことはあまりありませんし、直接会話をしたり議論したりする機会はほとんどないため、リアルな場面でココミュニケーションをあまり取れない人が多いのではないでしょうか。
コミュニケーションが苦手なのは若い人に限ったことではなく、シニアも含めて多くの日本人に当てはまることです。
(余談ですが、先日の石破首相の初外交デビューのニュース動画を見て、自分の姿を重ねた人は私以外にも多かったのではないでしょうか。

ちなみに、石破首相の姿とは、各国の首脳が積極的にコミュニケーションを取り合っている近くで一人座ってスマホと向き合っていた姿です)
若い人たちのコミュニケーション力不足の大きな要因の一つは、伝達手段が直接の会話や電話ではなく、LINEメールやSNSであることは疑いありません。
やはり、コミュニケーション力を養うためには、デジタル機器に一存するのではなく、リアルな場面での会話や討論、議論、ディベートなどの訓練を重ねることが必要ではないでしょうか。

【思考力・判断力】
◆そして、3つ目に取り上げたいのは「思考力・判断力」です。
前回、日本の教育現場では、「GIGAスクール構想」の第2期として、生成AI活用が推進されることをお話ししました。
生成AIを適切に活用することができれば、とても素晴らしいと思います。
しかし、現実はどうでしょうか?
「読書感想文」や「レポート」などを自分の頭で考えることなく、生成AIの記述をそのまま書いて提出するケースが報告されています。
◆私の知人が今年の7月にデジタル研修会に参加した時の体験を話してくれました。与えられた課題の回答に対して根拠を問われ、「生成AIで調べたら、そのように答えたから」と言った人が多かったというのです。
◆そして、これは私自身が実際に生成AIを活用してみた体験です。
予め予備知識のあることを生成AIに質問したところ、全く違うことを答えました。そこで、「その答えは間違いですよ」というと、素直に「間違えて申し訳ありませんでした」と答えて、また違ったことを答えました。
私に予備知識がなかったら、生成AIが答えたことをそのまま信じていたかもしれません。フェイクであっても判断力がなければ、そのまま信じてしまう可能性があるのです。
◆生成AIや人の言うことをそのまま鵜呑みにせず、またフェイクかどうか判断できるようになるためにも、デジタル機器から少し離れて、自分の頭で考える習慣を身に着けることがいかに必要かお分かりいただけたことと思います。
◆最近の例を上げれば、東京都知事選や兵庫県知事選で、いかにSNSの影響が大きかったか、私たちは実際に体験したばかりです。私たちにしっかりした思考力や判断力がなけれ、少し大げさな言い方になるかもしれませんが、民主主義も歪められてしまう可能性があるのではないでしょうか。
その点でも、「思考力・判断力」を身に着けることがいかに大切であるかがお分かりいただけることと思います。
リアル社会からデジタル社会への移行期の今だからこそ、教育現場ではできるだけ丁寧できめ細かい指導が求められるべきだと思います

◆先日、オーストラリアで「16歳以下のSNS使用禁止」の法案が可決されて話題になりました。

賛否いろろあると思いますが、デジタル機器を上手に活用しながらも、「集中力」「コミュニケーション力」そして「思考力・判断力」をしっかり養う工夫をすることが必要ですよね。
吉永みち子さんの言葉を借りると、「子どもの教育というのは待ったなしです。その時代を生きた子どもたちがその教育を受けてしまうので、大人たちが真剣に考えて、何が良くなくて、どこを修正すればいいのか見ていけばいいと思います」と語っていました。 私もそう思います。
「教育のデジタル化」について、私たち大人は時々立ち止まって、子どもたちのために真剣に考えてみませんか。