「江戸のSDGsに学ぶ~Ⅱ」(2)
前回は「江戸庶民の暮らし」についてご紹介しましたが、今回から「ゴミ問題とリサイクル」についてお話しします。
2.「リサイクル社会だった江戸の町
(2)江戸のごみ問題とリサイクル(その1)
◆次に、「ゴミ問題」についてお話ししましょう。
現代は食品ロスやプラスチックごみ、様々な廃棄物などの深刻なごみ問題を抱えていますが、江戸時代にはごみ問題はなかったのでしょうか。
もちろん江戸時代にも紙屑や古着、壊れ物など今と同じようにごみはあったはずです。 でも、現代のような深刻なごみ問題はありませんでした。それはなぜでしょうか?
江戸の庶民たちは、ごみを減らすためにいろいろと知恵をしぼったり、ムダを出さない工夫をしたりしていました。 また、要らなくなった物をどう回収して、どう再利用につなげるか、それが大きな課題ですが、その手がかりは長屋にありました。
◆長屋には、共同の井戸、共同のごみ置き場、そして共同の便所がありました。
また、長屋の入り口には木戸と呼ばれる門がありますが、その木戸に木の札がかかっていて、何か書いてあります。
その木札には、「木ひろい、紙屑ひろい、一切入るべから須」と書いてあります。 「長屋の中に勝手に入って、落ちている木や紙屑を拾わないこと」という看板なのです。
実は、木とか落ちている紙屑などは全て売り物になったのです。 木くずは火をたく燃料として銭湯などに売りました。また、紙屑も再生紙の原料として買い取ってもらいました。 現在なら有料で引き取ってもらうごみがお金になったのです。ちゃんとお金を払う側がいて、お金を受け取る側がいる。
つまり、江戸ではごみが商品となって、経済として成り立っていたのです。
◆これはSDGsの⑧「働きがいも 経済成長も」の目標が成り立っていたということですよね。
◆ごみが商品として扱われた結果、回収業も盛んになりました。
次回は、ごみ問題の大きな解決策となった回収業と、それにともなって必要になった修繕業についてご紹介します。