「政治家に薦めたい本」
ロシアのウクライナ侵攻から1年。残念ながら戦争はまだまだ終わりそうにありません。
そんな時に新聞で「政治家に薦めたい本」という投稿を読みました。その本とはエーリヒ・ケストナーの『動物会議』です。子どもの絵本ですので、子どもの頃にお読みになった方も多いかもしれませんね。私はケストナーを知っていましたが、まだ読んでいなかったので、先日初めてこの作品を読みました。
そこで今回は、『動物会議』を紹介しながら、戦争について考えてみたいと思います。
【動物会議】
◆この本は、第二次世界大戦が終わった直後の1949年に出版されました。
会議を繰り返し開くばかりで、一向に戦争をやめない人間たちに業を煮やした動物たちが、ただ一度の会議で知恵を出し合い、人間の子どもたちを守るというスト^リーです。
それでは、まだ『動物会議』を読んでいない方のために、簡単にあらすじをご紹介します。
◆北アフリカのチャド湖のほとりで、ゾウ、ライオン、キリンの3匹が一杯やりながらかんかんに怒っていました。なぜかって?それは、人間たちがいつまでたっても戦争をやめないから。「子どもたちのために、何かしなくちゃ!」物語はこうして幕を開けます。
※ゾウが言いました。「ぼくたちも会議を開こうよ。人間は何十回会議をしても何も決められないけれど、ぼくたちならやれるよ」と。
その日からきっかり4週間後。場所は動物ビル。そして、このことをあらゆる動物に伝えました。
※いよいよ最初で最後の「動物会議」が動物ビルの大会議室で始まりました。
「ぼくたち動物は、二度と戦争が起きないことを要求します」白クマが大きな声で演説すると、われんばかりの拍手が議場いっぱいにとどろきました。
※しかし、人間たちは動物たちの要求を拒否しました。あの手この手を繰り出して、どうにか要求をのませようとする動物たち。だけど、すぐにひっくり返されてしまいます。
それでも、人間の子どもたちのためにあきらめるわけにはいきません。
※夜が明けると、地上からすべての子どもたちが消えていました。これが、動物たちの最後の一手でした。
人間は、とうとう永久平和を約束する条約に署名しました。
心配された子どもたちは、もちろん無事です。世話好きな動物たちと一緒に元気に過ごしていました。
◆70年以上も前に書かれた作品ですが、まさに今、争いにまみれている世界を映し出しているようですよね。むしろ、核兵器をちらつかせたり、ウクライナの子どもたちを連れ去り、ロシア人として洗脳しようとしているといわれる今の方がひどく、本当にいやになってしまいます。戦争、難民、飢餓。それらに無力な国際政治・・・・・。
この70年余り、人間は世界大戦から何もまなばなかったのでしょうか。
今も世界のどこかで「動物会議」が開かれようとしているかもしれません。
今度こそ、すぐに永久平和を約束する条約に署名したいものですね。